Les Yeux Ouverts

〜TとYの冒険譚〜 (サタンのタンゴ 〜くらいよに どこからともなく きこえてくるよ〜 改め)

佳境です

さて、来ました。大島渚『戦場のメリークリスマス』(1983年)。これは、デヴィッド・ボウイの映画の中では、もっともシリアスで、もっとも違和感なく出演させてもらえたものではないでしょうか。その時点ですでに大成功だったと言えるかも知れません。デヴィッド・ボウイ以外の出演者が演技未経験者であったり、舌足らずな日本語と英語の対話ばかりだったということが、ボウイをますます引き立てているようにも見えます。『御法度』同様、閉鎖的な場所に美しい男の人が紛れ込んで巻き起こる混乱を描いた“『テオレマ』映画”の主人公に、デヴィッド・ボウイはぴったりです。ただ監督の美学がはっきりしすぎている分、無理が出て滑稽なところも多々あるのがこの映画の弱いところ。その後『御法度』という端正な映画を撮ることができて、本当によかったなあと思いました。『戦場のメリークリスマス』では演技がぼろぼろだった坂本龍一も、『御法度』での音楽は文句なしに素晴らしかったです。