Les Yeux Ouverts

〜TとYの冒険譚〜 (サタンのタンゴ 〜くらいよに どこからともなく きこえてくるよ〜 改め)

Le cinéma a encore quelque chose à me dire?

2010年はサッカーワールドカップ(しかしすでに記憶の彼方)と引っ越しとそれに伴う生活環境の変化などがあり、映画を観ねばと思い実行する機会がかなり少なかったので、今年はまたしっかり映画を観るぞと新年より心に決めております。劇場主義にはならず、家でも旧作など本当に観たいものをちょこちょこ観ようかと思い、さっそく実践中。何かよい出会いがあったときには、ここで報告したいと思っています。
高峰秀子が亡くなったと聞いた31日には、年越しの会の後半に、成瀬巳喜男の『秀子の車掌さん』を観ることにしました。のんびりした田舎を舞台に、なんとも言えないユーモラスなテンポがたまらなく、踏切から列車に乗った人を見送る(という行い自体がのんきで素敵な)シーンでは大笑い。結構なスピードで通り過ぎる列車(を見送るろうとしていることがすでに無茶で笑える)を追うカメラがうまくパンしきれてなくて、戸惑った動きをするのがやたらと可笑しく、後からそこだけ見直してしまいました。そして、映画の時間をひとしきり楽しんだ後で、すっかり目に焼き付いた17才のでこちゃんの困ったような表情に、とても切なくなりました。いい映画があって、いい女優さんがいた時代が、どんどんと遠くなっていきます。