Les Yeux Ouverts

〜TとYの冒険譚〜 (サタンのタンゴ 〜くらいよに どこからともなく きこえてくるよ〜 改め)

まだモウロウと

にちようび。「Station to Station」と「TVC 15」を繰り返し聞きすぎたあと、ぐったりと昼寝をしていたら、頭がへんになりそうだった。1曲の中に詰まりに詰まったものがあり、聴く方も簡単ではないのだなと思った。でも本当に、ものすごい名曲で、何度聴いてもメロメロ。ライブ音源だとなおさら。
ストローブ新作の会。先週の公開以来、本人が何度も映画館に来て、ゲストと共に質疑応答などしてくれている。1人になって以来、短めの作品をさっと撮っては年に1度新作として上映するというスタイルが続いている。ただシネマテークでお披露目だとそこにお客さんが全員来て終わりになってしまうので、今回はカルチェラタンのルフレ・メディシス。
イタリアのどこかの森を背にダンテを朗読する男性の、20分少々の映像が2度繰り返される(最初は字幕付き、2度目はなし)新作『O Somma Luce』に、過去の短編3つを合わせた上映。同じ映像を繰り返す作品は、『ルーヴル美術館訪問』と『Le Streghe, Femmes entre elles』とあって3本目。フランス語を解す人向けの構成だと思うので、イタリアではどうなるだろう。
ストローブの映画は、できることなら、文学や戯曲の古典テキストを、フランス語、ドイツ語、イタリア語で聴いて理解することを、求めている。翻訳ではなく、書かれた言語で読み上げられることに、美しさがまずあるのだから。字幕は助けになっているようでなっていない。それでも、受け手にそこまでの力がなく、言葉の意味を即耳で拾えなくとも、言葉の強いアクセント、抑揚、声、音声と映像そのものをじっと受け止めようとする、この純粋な時間が約束されていることに、毎度毎度感激してしまうのだった。あと出来ることは、テキストを自分で読み、再度観ること。今回は、コルネイユ『オラース』『オトン』、ブレヒト『ルクルスの審問』、ダンテ『神曲 天国篇』、それぞれの一部。
『O Somma Luce』冒頭、黒画面が続く間にかかる音楽が、ヴァレーズの「砂漠」、ピエール・アンリが関わるテアトル・デ・シャンゼリゼ初演の音源。これも興味深し。ストローブの音楽好きが分る。なにせ彼はその場にいたらしい。http://fr.wikipedia.org/wiki/Déserts_(Varèse) ピエール・アンリが用意した、録音を使った演奏部分にさしかかると観客からヤジが飛びまくる。同じ劇場でのストラヴィンスキーの『春の祭典』初演以来のスキャンダルだったとwikipediaには書いてある。ミシェル・シオンが書いたピエール・アンリの本によると、この演奏はラジオ中継され、それは初めてステレオ放送されたコンサートだったという。まさかのステレオヤジ中継。
最初に上映された『Europa 2005 - 27 octobre』は5回繰り返し、よくみると別ショットだった。93県、クリシー=ス=ボワでの出来事に対するシネトラクト。http://www.youtube.com/watch?v=EGU06JQ92lc
最も短かった1分半の『Joachim Gatti』は、警察の放ったフラッシュボール弾を顔にうけ片目を失うことになる青年の写真をうつしながら、ストローブ自身の声が語る。http://www.mediapart.fr/content/pour-joachim-gatti