Les Yeux Ouverts

〜TとYの冒険譚〜 (サタンのタンゴ 〜くらいよに どこからともなく きこえてくるよ〜 改め)

これでおしまい

はなをかみ続けなければいけないことをのぞいてほぼ元気になったところで、デヴィッド・ボウイとの冒険もついに終わりをむかえる。トニー・スコット『ハンガー』での、ドヌーヴとのエロチックなイメージ映像的共演を楽しんだあと、シメには初主演映画であるニコラス・ローグ『地球に落ちて来た男』を。作られた当時も今も、ローグまたはボウイの熱心なファンにしか観られていないような名高いカルト映画です。映画の中にいるのは、1976年のシン・ホワイト・デューク時代のボウイで、音楽家としてピークを迎えつつあったときに出た映画がこれだったというのは悩ましくもあるものの、どこからみても普通ではない姿をフィルムにくっきりと残せたことにはやっぱり価値がある。かなりだらだらと、平板な、訳の分からない、まさに評判通りの映画ではありますが。
これを観ていて気がついたのは、デヴィッド・ボウイが左手で文字を書いていたこと。左右反転映像ではなく、彼はほんとに左利きであるとネットにも記述が沢山あった。本人のインタビュー仏語訳では興味深い話も。http://www.lesgauchers.com/gauchers-beau-oui-et-gaucher-!_62_872.html ギターは右で弾いているし、マイクも右だから、今まで全然知らなかった。左利きに生まれてよかったことって全くと言っていいほどないから、似たような悩みを経験してきたかと思うと、おお仲間だ!と思う。
映画の最後にデヴィド・ボウイ扮する宇宙人がThe Visitorという名のレコードを発売したという逸話が出て来たところが一番面白く、なんだいそれはと検索にかけたところ、ジム・オルークが2009年にそこからタイトルをとって『The Visitor』というアルバムを発売していたことを知り、その音楽とインタビューが素晴らしかったという出会いがついてきたのは、嬉しいおまけ。インタビューはこれです。http://www.cinra.net/interview/2009/09/15/000000.php?page=1 これにはかなり励まされました。なんでも習得しようという意識の高いジム・オルーク、日本語力も立派なもの。尊敬します。