Les Yeux Ouverts

〜TとYの冒険譚〜 (サタンのタンゴ 〜くらいよに どこからともなく きこえてくるよ〜 改め)

月のはじめの日曜日

Arts et Métiersのミュゼにて目にしたものなど。工芸博物館などと訳されているけれど、産業技術博物館と言った方がよさそう。展示コーナーは、度量を定めた時代に始まり、土木、通信、エネルギー、交通などと分けられ、展示品は主に18~19世紀、石油化学到来以前の、工場や工業製品が土や石、金属やガラスで出来ていた時代のものが圧倒的多数。
で、はじめは写真を撮らないつもりでいたのが、リュミエールカメラを目にしたところでつい取り出してしまった。すでに時代は19世紀末。

ちっちゃい箱ですが、フランスじゃ花形です。リュミエール兄弟が発明した映像撮影機。同時に上映機としても使えるすぐれものでした。

まだサイレントの時代に、ゴーモンが開発した音付き映画上映設備。手前にフィルム上映機、真ん中にレコードが2枚並べられる蓄音機。奥には切り替えスイッチのついた機械。DJの要領ですね。

桃色の、美しい蓄音機。

初期のテレビ。画面が丸い。

コウモリ。いや、飛行機。ここにあるということは、ちゃんと飛んだ証拠。

20世紀後半、フランスでだけで普及したというミニテルはざんねんながらしまわれていた。
とここまでは、いいなと思っていたものにカメラを向けたのだけれど。

エネルギーのコーナーでは(申し訳程度に)原子力発電所の模型が。フランスは原発大国。他の国でなにが起ころうとも、政策転換など今は許されまい。けれども原発はただ安全に維持するだけでも多大な犠牲をともなう施設。対外的には人間の尊厳を重視した態度を示しながら、内部的にはしばしば真逆をいって合理主義を貫くのが外交強国フランス。内側で贅沢を享受していると、簡単にその両面性に取り込まれ、甘んじてしまいそう。あくまで視点は外に置き、欺瞞を見破れる位置から広く物事を見渡せるよう居続けることを改めて、肝に銘じる。